誕生日は嫌い?(その3)


この映画、とても良かったです。
タヒチで描かれた絵の背景、現地の少女、テフラとの出会いと別れを描きます。
(本国には奥様と5人の子供、いるんですけどね。)

ゴーギャンの生き方、芸術家故に、ハチャメチャなんですが、気持ちよくわかる描き方をしています。
タヒチの景色も、少しトーンを落としたような色合いで、絵の鮮やかさが浮き上がります。
実際の作品と、映像がクロスして、映画は静かに展開していきました。


このポーズなをとりながらテフラは、教会に行く人々を眺めて言います。
「私、白い服を着て教会に行きたい‥、」ゴーギャンは、
「君には教会は必要ない」と。


描いた絵はまとめて本国に送りますが、売れません。テフラに食べ物も与えられない日々が続きます。
「お腹が空いた」というテフラに、
「分かっている、そのまま。」と言って絵を描き続けるゴーギャン。テフラの気持ちは徐々に離れて物憂げに。


ある日、ゴーギャンは、弟子でもある、隣人の息子との密会の現場を目撃することになります。
荷物をまとめ、テフラをつれて旅立つゴーギャン。
絵も描かず、港で働き続ける姿は憐れでした。テフラが逃げないようにと、部屋には鍵をかけて、
「妻を食べさせなくてはならない、」と。


やがて、病気が悪化したゴーギャンは本国に送り返されてしまいました。
テフラとは二度と会うこともなかったとか。
テフラはその後、どう、生きたのでしょうか?



終わった後は、シーンとして、皆、無言。
何を言ったらいいのだろう、と暫くは口を開けなかった。


しばらくしてから、
「悲しいねえ‥、」と言ったら、「泣いたの?」と顔、のぞき込まれました。
「だって、悲しいじゃない、売れない画家。」
「食べ物も食べさせられないんじゃ、逃げられるよなあ‥。」


その日は終日、映画の話題ばかり‥、
心に残る映画でした。



さて,
誕生日が終わった次の日、駅へ向かう道で聞いてみた。
「誕生日は嫌い?」
答えは、ビックリ、
「誕生日がなければ、年をとらない。」だって。
「それはないわよ、」と笑ったけれど、いまだに、年をとることが受け入れないとは、困ったオジサンです。
まあ、これは根源的な不安ね、深追いはしないことにしましょう。


今にね、年をとることが勲章のように思える日も来るでしょう、
「今年も誕生日、迎えられたね、」としみじみと、喜べる日がきっとくる。
その時までは、誕生日は、少しはしゃいで過ごしたい‥。






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